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桜木エレナ・恋愛小説連載

連載小説・ここよりも遠く、誰よりも近くへ 第1話



私、逢坂美礼。28歳。
外資系化粧品販売の仕事に就いて、今年で6年目。
体は健康だし、仕事が充実しているおかげか、ここ数年恋愛から遠ざかっているものの、出会いを求めてはいなかった。
同窓会に参加したのも、14年経ったみんなに会いたいという好奇心から。

「久しぶり」
「あ・・と、原田くん!?だよね。久しぶり!あれ?背、伸びた?」
と聞く私に、原田くんは「ああ」と言うと、ニカッと笑った。

『高校生になってから15センチ背が伸びた』原田くんとは、中学だけ同じだった。
その3年間、すごく仲が良かった覚えはないから、正直あまり印象に残ってない。
それに家はご近所同士でもないし、高校は別方向、彼は大学生の頃からひとり暮らしを始めたそうだから、
偶然でもずっと会わなかったのは頷ける。
でも彼のニカッと笑った顔を見たとき、「懐かしい」と思ったのと同時に、私の心がほんわり温かくなった。

「逢坂は、変わったところもあるし、変わってないところもあるな」
私の顔をじっと見ながら言われたせいか。
少し思わせぶりな原田くんのセリフにも、なぜかドキッとしてしまった。

「な、何それ」
「実は3ヶ月くらい前、会社の先輩の奥さんが定期購読してる雑誌に、逢坂が載ってたのを見てさ」
3ヶ月くらい前・・あぁ確かに私、女性向けファッション雑誌のコスメのページに載せてもらった。

「わぁ。すごい偶然」
「マジで。俺、嬉しくてさ。つい雑誌のおまえを指さしながら『こいつ同級生です!』って先輩たちに叫んでた。『なんで太一が自慢するんだよ』って先輩に突っ込まれたけど・・でも俺、雑誌の逢坂見たとき、確かに“見つけた”って思ったんだ。奥さんがその雑誌見せてくれたことや、一時帰国の時に同窓会があったことも、逢坂に会うために用意されたチャンスだと思ったし。天に味方してもらってるってーか・・あぁうまく言えねえ!とにかく俺、逢坂に会えて嬉しい。マジで」

「・・私も」
それは私の口から自然に出た、正直な言葉だった。
私の言葉を聞いて、原田くんはまたニカッと笑った。

「なあ。今からそこの居酒屋行こう。それともこの後、予定あるか」

ここで出会いを期待してなかった。
だから逆に出会ってしまったのかもしれない。

この先どうなるかなんて、今考えても分からない。
だったら今は、もう少し原田くんと一緒にいたいという自分の気持ちに従おう。

私は微笑みながら「ないよ」と答えた。



小説

ここよりも遠く、誰よりも近くへ
オランダ在住小説家、桜木エレナのmooi-mooi 書き下ろし連載がmooi-mooi vol02. からスタートしました。
ここよりも遠く、だれよりも近くへ 第2話は、3月10日発行のmooi-mooi vol03. でお披露目となります。
公開までもうすぐですね、お楽しみに♪


《桜木エレナ》
ハッピーエンドの小説を書き始め、現在4年目。
自サイトCadeutje(カドーチェ)http://cadeautje.blog.fc2.com に公開している作品多数。
スターツ出版が運営する無料のオトナ女子向け小説サイト「Berry's Cafe・ベリーズカフェ」にも掲載中。



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